研究題目:
遠隔プレゼンテーション支援システムの研究
研究者:
佐藤宏之(Hiroyuki Sato)
研究の概要:
近年の通信技術の発展に伴って、講演者と聴講者が物理的に 離れたプレゼンテーションが見られるようになってきた。
本研究では、従来のTV会議システムと比べて、より自然なプレゼンテーション 環境を実現するため、聴講者および講演者とのインタフェースにコンピュータ を用いた遠隔プレゼンテーション支援の手法を考察した。
本研究ではまず、遠隔地へのプレゼンテーションを可能にする設備を実際の大 学の講義に導入して遠隔講義を行ない、そこで必要とされるシステム機能など を聴講者の立場から分析した。
次にその結果などをもとに、複数の遠隔地の聴講者の主体的な参加を支援する 遠隔プレゼンテーションシステムを、ネットワークとコンピュータ制御可能な 可動カメラを用いてWS上に実装した。 このシステムを用いることで聴講者は講演者の声や表情、身振りだけでなく、 あらかじめシステム上に用意された資料を講演者と共有して見ることができる。 さらに、講演者がプレゼンテーションの間にリアルタイムに作成・更新・提示 するOHP、ホワイトボードの文字や図を遠隔地の聴講者が主体的に可動カメラ を制御して見ることもできる。 これにより、講演者が提示する資料が見づらかったり、あらかじめすべての講 演資料をシステム上に載せて置かなければならなかったりするという従来のTV 会議システムで起こった問題を解決し、遠隔地間で自然なプレゼンテーション 環境を実現した。
最後に、このシステムを用いて実験を行ないシステム機能の有効性を評価した。 この評価から、聴講者は、ある説明を聞いている時点で、それよりも前の段階で 提示された情報を参照したり、比較したりする動作をシステムを用いて行なう ことが多いということがわかった。 また、聴講者はそのような主体的な動作がサポートされたことによって、シス テムの有効性を感じているという結果が得られた。 さらに、聴講者に講演者側の様子や講演者が提示している資料を、能動(主体) 的に見ることのできる手段を提供することが、遠隔地間のプレゼンテーション の支援において重要であるという結論を得た。
Abstract:
発表論文:
- 佐藤宏之, 安村通晃, 聴講者の主体的参加を支援する遠隔プレゼンテーション システムの試作, 情報処理学会 第52回大会, (1996 Mar).
- 安村通晃, 佐藤宏之, 双方向CATVとオンライン教材を用いた遠隔教育の試み, 情報処理学会第37回プログラミングシンポジウム, (1996 Jan).
- 佐藤宏之, 安村通晃, 双方向CATVとマルチメディア学習教材を利用した 遠隔講義支援システムの構築と評価, 日本教育工学会研究報告集 JET95-6, pp.89-96, (1995 Dec).
- 佐藤宏之, 伊賀聡一郎, 安村通晃, 遠隔デスクトッププレゼンテーション システムのデザイン, 計測自動制御学会第10回ヒューマン・ インタフェース・シンポジウム, (1994 Oct).
- 伊賀聡一郎, 佐藤宏之, 安村通晃, 遠隔プレゼンテーション支援システムの 試作, 情報処理学会第49回全国大会, (1994 Sep).