研究題目:
テレプレゼンスを用いた肢体不自由者の生活支援に関する研究
研究者:
岡野圭(Kei Okano)
研究の概要:
本論文は、肢体不自由者の自立生活を支援に関する研究について述べたもので ある。
筆者自身が重度肢体不自由障害者であり、車椅子で生活をしていると次に挙げ るような問題に直面することが多々ある。
1.マンションのモデルルームの見学などでは、車椅子のまま部屋に入ると絨毯 を汚してしまうからと、入室を断られる
2.研究所や大学の研究室などの見学では、入口が狭い、通路が狭い、階段 (段差)があるなど、車椅子のままで見学できないところが多い
3.自動車の乗り降りでは、車椅子の積み降ろしに時間がかかり大変なため、 コンビニエンスストアでジュースを買うという普通なら1, 2分ですむ用事のた めに、20分もかかってしまう
そこで、本研究では、簡易テレプレゼンスロボットを利用することによって、 肢体不自由者が不便に思っているの生活を支援することを目標とする。 よって、まずパーソナルテレプレゼンスロボット(「みがわりくん」)の実現をする。 このロボットは、人間の感覚情報のうち最低限必要である項目を備えたものにし、 その設計には、扱いやすさ、外見的なデザイン、危険回避(安全性)、臨場感な どを考慮する。 また、遠隔地の人間とのヒューマンコミュニケーションが重要な要素となるため、 ロボットの遠隔操作における操作者に対して操作が容易となるようにインター フェイスの工夫をし、操作者の負担を軽減せねばならない。 操作者と相手にかかる負担を最小限に、そしてパーソナルなものとするため最 低限なシステムを構築しなければならない。
これまで多くのロボットの開発においては、より人間に近い、あるいは、人間 と同等の能力を有するロボットを目指してきた。人間と同等な作業のできる完 璧なロボットが実現されれば素晴らしいことであるが、現状を見る限り、その ようなロボットの実現は難しいと考える。よって、人の協力を積極的に採り入 れたロボットの方式とする。
さらに、実際の利用を目指しているため、ロボットを介した人と人とのコミュ ニケーション方法についても提案する。
Abstract:
発表論文:
- 岡野圭, 安村通晃, 肢体不自由者をサポートするパーソナルテレプレゼンス ロボットの試作と評価, 情報処理学会ヒューマンインターフェイス研究会, Vol.62, NO.4, pp.25-32, (1995 Sep).