ユビキタスインタフェースの目指すもの
〜家族関係の変容と生活者の視点から
今日の日本の社会はさまざまな問題点を抱えています。少子高齢化から、単身赴任者の増加、さらには引き籠もりなど、学校・職場や社会全体だけでなく、家庭にまで問題が広がっています。
一方で、コンピュータを取り巻く環境は、インターネットや携帯電話の普及などにより、ユビキタス社会が到来しつつあることが予感できます。しかしながら、ユビキタスコンピューティングなどの研究開発においては、センサーやネットワークなど、技術のみが注目されている感が否めません。
ここでは、日本の今おかれている状況を冷静に振り返り、そこで問題点として、家族関係の変容を取り上げたいと思います。民族学や発達心理学の分野での知見から、状況を冷静に捉えつつ、生活者の視点からユビキタスをインタフェースとしてみたとき、何が可能かを考え、その可能性の一端を具体的なデザイン提案として示してみたいと思います。
具体的な対象としては、家と家族、その中のコミュニケーションと記憶について、考えていきたいと思います。
安村通晃 プロフィール
安村 通晃(やすむら みちあき)http://web.sfc.keio.ac.jp/~yasumura
慶應義塾大学 環境情報学部教授。理学博士。
ヒューマンインタフェース、特に、実世界指向、マルチモーダル、ユビキタス、障害者支援などの 研究開発に従事。
主な、著書訳書
「エモーショナルデザイン」(共訳)、
「クロフォードのインタラクティブデザイン論」(監訳)、
「アダプティブテクノロジー」(共訳)、
「パソコンを隠せ、アナログ発想でいこう」(共訳)、
「読み書きコンピュータ」、「コンピュータの数学」(共訳)、
他多数。